プロセスシミュレータCOCOを使ってみる

この記事は圧倒的令和っ!!ぴょこりんクラスタAdventCalender2019のために書いたものです。このアドベントカレンダーが何なのかは主催者様の記事を参照してください。

      

1. はじめに

(1) プロセスシミュレータとは

・プロセスシミュレータとは端的に言うと化学プラントをシミュレートするソフトウェアのこと

・化学プラントと言えば夜景萌え、ではなく化学反応を利用したり不純物を含んだものを精製して化学製品を作るための設備。一つの装置で製品が得られるわけではないので、プラントを構築するには各工程を担う複数の装置を組み合わせ、工程ごとに機械の仕様を決めて目的の品質のものを得るプロセスを設計する必要がある。プロセスシミュレータはその設計を支援する。

・工程の各内容は機能別にモジュールみたいに区切ることができる。

    例として ①反応、②分離、③混合、④蒸発、⑤凝縮 etc...などがあり、これらをモジュールのように組み合わせて製品が出来るまでの工程を設計している。

・このあたりはソフトウェアのオブジェクト指向に通じるものがあるかも。

(2)何をやるか

・化学工場といえばごちゃごちゃしたデカイ機器がいっぱいあるが、ごちゃごちゃした機器同士は配管でつながっていて複数の機器で一つの製造システムを構築してる(各機器を連結して連続したプロセスを構築するのが大量に作るには効率がいい)

・上記のような連続したプロセスを設計するには、原料からスタートするフロー図を書いて化学反応や分離精製工程等を組み合わせて最終的にほしい製品が得られる手順を考える必要がある

・なおかつ各工程で機器に必要な仕様を決めるにはそれぞれ計算しないといけない

・プロセスシミュレータは上記のフロー図作成と機器の仕様決めのための計算を行う総合開発環境みたいなソフトウェア

  

2. プロセスシミュレータCOCOについて

 ・COCOとは・・・こちらを読んでください

 ・かつてはプロセスシミュレータといえば商用のものしかなく、しかもソフトウェアライセンスのお値段がすごい(大学生のときに先生に聞いた話では学内の年間ライセンス料だけで億近くは支払っていたそうな)

 ・COCO使えば機能や扱える物質が限られるが、無償で商用のものと同じようなことができる

 ・みんなもCOCO使えば夢の化学工場をタダで自由に設計できるよ(テキトー)

 ・やろうと思えばドライヤーとか冷蔵庫みたいな電機製品の設計にも使えそう

 ・実はこのソフト2012年くらいからあったらしいけど、私も存在を知ったのはつい先月だったり。大学生のときにこういうのがあれば色々と遊べたのに。

  

3. 目標

・とりあえず今回はYOUTUBEにあったIntroductionに従い実際に使ってみる

      

4. やったこと

(1) COCOのダウンロード

こちらから。インストーラの指示に従うだけですが、COCOに含まれる各計算用のパッケージも忘れずにインストールする

(2) COCOをInstrutionに従い動かしてみる
①扱う物質やパラメータ設定

・Chemsep というCOCOのパッケージに含まれるソフトを使って設定を行う

・ここで間違えると計算が発散したりする。ダメなら別の状態方程式を試す(ちゃんと解説書きたいけど詳しくないので、化学工学用の状態方程式モデルをまとめた文献があれば知りたいところ)

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最初に計算する上での設定を行う(扱う物質や使用する状態方程式を指定)

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扱う物質の登録
②機器の配置

・メニューに各機器のアイコンがあるのでそれらから選択して置いてつなぐだけ

・今回はINTRODUCTIONに従い、ベンゼントルエン、o-、m-、p-キシレンの混合物から蒸留塔2つ繋いで沸点の小さいベンゼントルエンの順で分離していくだけです

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機器を配置する
③仕様決め

・分離には蒸留塔という機器を使いますが、機器の仕様についてはテキトーに入力して後から計算結果を参考に調整します(計算結果出力するとフェンスキの式でソフトが概算してくれるのでそれを参考に調整してもう一回計算する)。

・Instructionと同じ条件で計算回すと発散したので状態方程式を変えるなどして微調整しました。動画の説明時からChemsepのバージョンが更新されて若干仕様が変わっているっぽい(要調査)

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上流側から各機器の仕様を入力して計算していく
④完成!

全ての機器について計算して目的の製品が得られていればひとまず完成です

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完成!
⑤結果の表示など

・ちょっと違和感もあるけど気にしない

・その他、計算結果をCOCO上でPythonExcelMatlabなどに渡してさらに計算なんてことも出来るらしい。データドリブンでやるような化学プラントの制御手法を組み込んだシミュレーションを試すみたいな使い方も出来る・・・のかな??

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蒸留塔各段での各成分の濃度

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マッケーブーシール法表示


    

5. 終りに

・使ってみると結構かんたん

・プラントもそうだし、実験室レベルでやってる実験もCOCOでトレースしてみるなど遊び方は色々とありそう

・化学工学から離れて長いけど今後はこれで遊びつつ久々に勉強しようかなと思います